「ないのー?ありそうだけど」

「残念ながら何も話すことないよぉ……」

「えぇー、でもありそうじゃんっ。———ホントにないの?」






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『——……ギター?』



そう言いながら近寄ってきたのは、わたしの幼馴染・異露木 初斗(ことろぎ ういと)

ここ、屋上で、しかも授業中なんだけど。



『さぼり?』

『奏心もでしょ』

『……』



……こいつ、口だけは相変わらずよく回る。

じとりとにらんでいると、ウイが聞いてきた。



『そんなに大切なもの?』

『当たり前でしょ』



ギターを持ち直す。

風が吹き抜けた。



『これは、わたしの“おと”だから』

『ふぅん?』



あまり変えずにいた顔を、ふわりと緩める。



『これは、わたしのためだけの“おと”だから』




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