「わっ、きれい!」

朱璃は打ち上がる花火に言葉を漏らす。


「だな。」

素っ気ないように聞こえるがこれは照れているのを隠すため。


『花火よりもお前の方がきれーだよ。』

なんてキザなセリフ俺が言ったら笑われそうだな。


「ねぇみてた!? 今の花火やばかった!」

興奮気味に声を上げて俺を振り返る。


それと同時に彼女が着ている浴衣の袖がふわりと風になびいた。


「好きだ……」


はっと気づいた時には遅かった。

しまった。今言うつもりなんかなかったのに。