宰相が言っていたようにアルは世界樹のあるまほろば島からやって来ていた。
まほろば島はすべての魂が還る場所――世界樹がある。そのためなのかは分からないが島と大陸とでは時間の流れが大きく異なっているのだ。
まほろば島の一年は、大陸の十年に相当すると言われている。因果律を歪めないために島民――魔法使いの一族は大陸に上陸することを普段は島長から禁じられている。
アルはある理由によって、上陸する許可を得ていた。目的のためにいくつかの国を転々としていた折、島長から連絡が入った。
それはメルゼス国の国王陛下から直々に仕事の依頼があり、上陸ついでに会って様子を見てきて欲しいという内容だった。
アルは島長の指示に従ってメルゼス国入りすると国王陛下の依頼を引き受け、現在この王宮で総務部の職員として表向きは働いている。
「それでどうなのだ? 例の物は見つかりそうか?」



