首都アウラの郊外には、メルゼス国屈指の美しさと広さを誇るフレージェ王宮があり、東西に翼を広げるようにして建物が伸びている。

 王宮内の装飾は国内外の有名芸術家が手掛けた煌びやかな金工や素晴らしい彫刻が組み合わせられていて、一つ一つが精彩を放っている。まるで宝石箱の中に迷い込んだみたいに眩しく、見惚れるような美しさがある。

 その華やかさに負けず劣らず王宮手前には幾何学模様で造り上げられた花壇があり、中央には睡蓮の池があった。見晴らしのいい場所から一眸すれば緑の額縁に縁取られた絵画のようにも見える。