火付け役となったのはどうやらジャクリーン様で、彼女がマカロンをルメラーダ公爵夫人のお茶会で紹介したところ流行り始めたのだとか。
 社交界よりもお店にいる時間が圧倒的に長くなっているので詳しくは知らないけれど、その店はうちと同じで可愛いに焦点を当てたマカロンらしい。
 ――お店を開く前に市場調査でいろんなお店を回ったけど、可愛いマカロンを出すお店なんてあったかしら?
 ラナと一緒にいろんなパティスリーへ赴いたけれど思い出せない。もしかして見落としていたのだろうか。
 ともかく、そのお店のお陰でうちのパティスリーのマカロンは連日売り切れが続いている。

 マカロンコックの外はカリッと中はしっとりと仕上げていて、その間に香り高いジャムやガナッシュを挟んでいる。可愛さを演出するため表面にアラザンやチョコレートソース、フランボワーズなどの飾り付けも忘れてはいない。
 私はマカロンをいくつか包装紙に詰めると水玉のリボンでラッピングして手渡した。