――こ、これってまさか……キスされる!?
心の準備はできているようでできていない。けれど、大好きなアル様になら――キスされたい。
心臓の鼓動が激しく脈打っている。嫌でも意識してしまう中、私はそっと目を閉じた。
するとやがて、目の前が暗くなり、彼の吐息が顔に掛かる。
あと少しで私の唇はアル様に触れる――そう思ったところで突然、アル様があっと声を上げた。
思わず目を開けてみると目の前には青年、ではなく子供姿に戻ったアル様が苦々しい表情で立っていた。
「…………。まだ本調子じゃないから身体が子供になるみたい。さっきの追跡魔法は結構な魔力を消費するから身体の負担になったのかも」
アル様は大きく溜め息を吐いて項垂れる。背中にはしっかりと哀愁が漂っていた。
「そんなに気落ちしないでください。パティスリーに戻ったらすぐにクッキーを出しますから。ね?」
必死に慰めているとアル様は急に口端を持ち上げた。
「だったらシュゼット令嬢、こっちに来てしゃがんでもらえるかな?」
「こうですか?」



