――うう。あの可愛い天使のネル君がアル様だったのよ? こんなのずるいっていうか一挙両得っていうか。
内心開き直りつつも目の前にいるアル様へは顔向けできない。この場をどうやり過ごせばいいのか必死に考えを巡らせるが何も思いつかなかった。
「シュゼット令嬢」
名前を呼ばれ恐る恐る視線を向けると、アル様の熱い視線とぶつかった。
「大好きだなんて言って、後で後悔しても知らないよ。だって僕はあなたから離れられそうにないんだから」
「え?」
「あなたはネルをただの子供だと思っていたようだけど、僕はそうじゃなかったよ。子供の姿なりにいろんなことをした。あなたに僕の気持ちを気づいて欲しくて。僕がネルだろうとアルだろうと受け入れて欲しくて」
それはどういう意味ですか? と、聞き返したいのに言葉が詰まって出てこない。
だって、吸い込まれそうなほど美しい紺青色の双眸が間近にあるから。
目が逸らせない。端正な美貌に見つめられて私の心臓が激しさを増していく。
ふと、そこで私はネル君だった時のアル様の行動を思い出した。
彼は私の傘に入れるのは自分だけにして欲しいと言っていた。お店に来る度に私に花束を渡してくれた。そこで私はハッとする。
――もしかして……私の間違いじゃなかったらアル様は私のことが好きだったの?
私が視線を向ければアル様は「やっと気づいてくれたの?」と言って目を細める。



