「エードリヒ様は、私にとって頼りになるお兄様に近い存在です。彼は私の幼馴染みで、幼い頃はよく遊んでもらいました。昔の付き合いがあったお陰で未だにうちが没落し掛かっていても関わりを持ってくれています。今回みたいに少しでも再建のために力になってくれているんです」
「幼馴染み? それは本当かな?」
「本当です」
「ただの幼馴染みでお兄様のような存在なの?」
「ええ、そうです。醜聞騒ぎになるようなやましい関係ではありません」
念には念を入れるようにアル様が尋ねてくるので私は何度もエードリヒ様のことは幼馴染みで兄のような存在だと説明する。
三度目になって漸くアル様はホッとした表情を浮かべた。
もしかしてエードリヒ様と私の間に変な噂がたたないか心配してくれているのだろうか。
王宮の総務部で働いているから、もしかしたら王家の醜聞に関わる仕事をしているかもしれない。
私がうんうんと頷いて納得しているとアル様が晴れやかな声で言った。
「しつこく訊いてしまってごめんね。いろいろとはっきりしたからとても安心したよ」
「それは良かったです。私も誤解されるのは困るので!」
誤解されてエードリヒ様に迷惑を掛けてしまうのは非常に申し訳ない。それにアル様に私とエードリヒ様との関係を誤解されるのも嫌だった。