一瞬何を言われたのか分からずキョトンとしてしまったけれど、私はすぐにその内容を理解して目を見開いた。
アル様は軽蔑するどころかアップルタルトには初めから食べるのが難しいクッキーがのっていたと主張してくれたのだ。
そんな発想は私の頭にはなかったし、その心遣いがとても嬉しい。
不安で冷え切った心がじんわりとした温もりに包まれていく。
私はアル様の問いに対してしっかりと頷いた。
「そうです。……このケーキにはそぼろ状のクッキーをわざとトッピングしていました」
同調するとアル様は目を細めてからぽんぽんと私の頭を優しく叩いてくれる。気持ちが落ち着くまでの間、アル様のされるがままだった。
暫くして心が平常心を取り戻すと、私は段々恥ずかしくなってきた。
「あの、アル様」
「なんだい?」
「……そろそろ頭をぽんぽんするのはやめていただけないでしょうか?」
私がおずおずとお願いするとアル様は楽しげに目を細める。
「うーん、どうしようかな?」
「お願いですから子供扱いしないでください。私はアル様と歳だってそこまで変わらない……もう二十歳なんです!」
叫んだ途端、私は顔を真っ赤にして俯いた。
自分から年齢を言っておきながら男性に知られるのはやはり恥ずかしい。
それが特別なお客様のアル様となればより一層のこと不安になる。彼とは良好な関係を築いていたいし、もっと仲良くなりたい。



