甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

「っ……ずるいっ……。」

 そう言われちゃったら、また体温が上がっていっちゃう。

 乾はどうしたら私が恥ずかしがるかとか、喜ぶかとか、大体全部知っている。

 だから、いつも恥ずかしさとか嬉しいとかが上限突破してしまう。

「あ、顔真っ赤。もしかして、惚れ直した?」

「……だったら、どうだって言うの。」

 半ばふてくされながら、吐き捨てるように口にする。

 もう無理だ。こいつに勝とうなんざ、きっと無謀。

 なんて思い、できるだけ乾から視線を合わせないようにしていると。

「そりゃ、可愛いって思うよ。杏は俺が惚れた女の子だよ? いつ何時でも可愛いって思うけど、素直にそう言ってくれて調子乗ってる。」

 乾はおそらくバックハグが好きなようで、その状態で話してくる。

 そのせいで乾の吐息が耳元や首筋に当たってきて、反射的に変な声を上げてしまう。

「ぅ……い、乾……そこで喋らないでっ……。」

「……へー、ここ弱いんだー。」

「え、ちょっとっ……!」

 私はどうやら、乾の何かのスイッチを入れてしまったようで。