甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 私って、意外と面倒なタイプなのかも……。

 真逆の気持ちを抱くっていう事は、きっとそういう事。

 なんてしみじみ考えながらも私は、居るであろう乾にこう言った。

「どうして、追いかけてきたの? もうホームルーム、始まっちゃうよ。」

「そんなの、一つしかないでしょ。」

 何を当たり前な事を、と言いたげな乾。

 でも私には何の事かさっぱりで、思わず振り向いた。

 途端、腕を掴まれそのまま引き寄せられて。

「なっ……は、離して乾っ! 何も、抱きしめなくても良いでしょ!」

「ダーメ。離したらどうせ、杏逃げるんだもん。だったらこうして捕まえておくほうが良くない?」

「良くないっ……!」

 何をどう見て、どう感じたらいいと感じるのか。

 それが私には理解できず、ドンドンと乾の胸元を叩く。

 そしてその行為が功を奏したのか、仕方なさそうにやれやれといった様子で腕を解いた乾。

 けれど代わりに、ふっと不敵に微笑んだかと思うと。

「俺が杏のこと追いかけてきたのは、杏と離れたくなかったから。」