甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 それなのに今は、信じられないくらいに心臓が脈打っている。

 ドキドキと、うるさくて次第に硬直してしまう。

 そんな私を見て何かを感じ取ったらしい乾は、ふっと微笑んでから。

「杏、今日も可愛い。」

 なんて、私の耳元で囁いてきた。

 ……っ、そういう事するからっ!

「っ……ま、毎日言わなくても良いでしょっ!」

「そんなの無理だよ。」

「ちょっ……!」

 無理って、そういう問題じゃっ……!

 急いで口にしようとするも、それを遮るように私の頬に軽いキスを落としてきた乾。

「わ~、朝からお熱いね~。心なしか、熱気がくる感じがする~。」

「~~っ! 空音も居るんだから、こういう事はダメっ!」

 そ、そういうのは二人きりの時にするもので……って、別にされたいわけじゃないんだけどっ!

 いや、されたら恥ずかしいけど嬉しいし……で、でも、や、やっぱり恥ずかしいからあんまりしてこないでほしいって気持ちもあるけど……。

 自分が何を思っているのか分からなくなってきて、私はガバッと椅子から立ち上がった。