甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

「杏に名前呼ばれんの、すっごい好きなのにさ。好きな子から呼ばれるのって、めちゃくちゃ嬉しい事なのに。」

 絶対、楽しんでるっ……こいつは。

 愉快そうな声色が隠しきれていない。それほどまでに私の反応を楽しんでる、この男は。

 だけど、負けてたまるかっ!

 私だって意志は固い。そう簡単に揺れると思ったら大間違い……。

「……名前呼んでくれなきゃ、今ここで襲うよ?」

「――!?」

 声が出ないとは、きっとこの事だろう。

 ただ口をパクパクするだけで、何も言葉を発せれないのだから。

 それを知ってか知らずか、乾は追い打ちをかけるように吐息を吹きかけてきた。

「はー……なーんも言わないって事は、襲われたいの?」

「ち、ちがっ……!」

「だったら言ってほしいな。望遙、って。」

 妖艶な声色に変わったと思ったら、抱きしめる力を一層強くしてくる。

 そのせいと、“襲う”なんていう単語に動揺した私は……またも負けた。

「み、望遙って呼ぶからっ……襲うのは、絶対ダメっ……!」

 これで満足でしょ。いい加減、離して。