甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 乾になるって……ううん、今は深く考えないほうがいい。

 どっちにしろ、まだ呼べそうにない。

 この前のあれは多分、その場のノリで言っちゃっただけ。今は言えない。

 全力で首を左右に振って拒否する。

 すると乾は、あからさまにしゅんと落ち込んだ。

「ダメなの?」

「だって無理だもん、名前で呼ぶなんて。」

「この前は呼んでくれたじゃん。」

「あれはノーカン!」

 無理なものは無理だ。名前で呼ぶなんて、恥ずかしすぎる。

 ただそれだけ、私が名前で呼びたくないのは。

 拒否り方が子供っぽいと思われても良い。私は、恥ずかしさに勝てる気はしないから。

「杏。」

「ひゃっ!」

 ……それを許してくれないのが、乾望遙という男で。

 私をひょいっと自分の膝に乗せて、抱きしめてくる。

 かと思えばいきなり、耳を攻めてきた。

「俺はこんなに呼んでほしいと思ってるのに、呼んでくれないんだ。」

「う、ぁ……やめっ……くすぐったっ……。」

 耳とか、無理なのにっ……。

 抵抗しようと身をよじるけど、それらは意味を成さない。