甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

「あっ、いやっ……今のはちが――」

「杏が離れたいって言っても、俺は離れる気なんてないけど?」

 不覚にもドキッと、心臓が高鳴った。

 取り消そうとしたのに、この男はすぐ答えてくる。

 ……だからこそ、安心できる。彼の近くに居ても良いのだと。

「というか、そんな心配しなくても大丈夫だって。俺、死んでも杏を離したくないって思ってるし。」

「そっか……。」

「あ、そーいえば杏に言いたい事あったんだよね。」

「え?」

 言いたい事?

 全く予想できず、ただただ首を傾げる。

 このタイミングで言うなんて、一体何を言ってくるんだろう。

 少し身構えて、聞く準備をする。

 ……そしてその途端、聞こえてきたのは。

「そろそろ俺の呼び方、名前にしても良いと思うんだけど。ずっと乾って呼んでるじゃん。」

「……え。」

 それはつまり……み、望遙と呼べと?

「いや無理無理! 乾って呼ばないと……」

「だってどうせ杏も“乾”になるんだから、今から矯正しとかないと。」

「えぇ……。」