甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

「……され、たい。」

「へー……欲しがりさんめ。ちょー可愛い。」

 ふっと愉快そうに笑う乾は、その時何かを思いついたように口角を上げた。

 意味深に、何かを企んでいるように。

 ……なんだか、嫌な予感がするのは私だけ?

 一瞬の内にそう思ったからか、その予感は見事当たってしまい。

「俺のこと名前で呼んでくれたら、キスしてあげる。」

「んなっ……!」

「彼女なら、できるでしょ? キス、されたいもんね?」

 い、意地悪だっ……!

 分かってたはずだ。乾はこういうのに抜かりないって。

 こんなシチュエーションだからこそ、上手く利用しようとしている。そこが策士だ。

 それも含めて、乾らしいっちゃらしいけど。

「……恥ずかしいんだけど。」

「んじゃ、おあずけって事でいい?」

「よくない……。」

「だったら呼んでみてよ、ほら。」

 からかわれてる気がするっ……しかも、絶対楽しんでるしっ。

 素直になっちゃってる私も私だけど、今日の乾はとことん甘い。甘すぎる。

 けど呼ばなきゃ、ずっとこのまま。いたちごっこのようなものだ。