ネットとかでも調べてみたけど、俺のキャラには合わない。

 でも……杏がそっちのほうがいいって言うなら、演じないと。

 そうしなきゃ、もしかしたら愛想を尽かされるかもしれない。

 ……それだけは絶対、避けたかった。

 その思いが、裏目に出た。

『っ、いいから離してよっ!』

 あの時の杏の表情が、脳裏に焼き付いて離れない。

 俺はまた、同じ過ちをしてしまった。

 付き合う前も杏に強引に迫って、盛大に拒否された事がある。

 どれだけ馬鹿な事をすれば気が済むんだよ、俺の馬鹿野郎……っ。

 そう思わずにはいられなくて、無意識に舌打ちをした。

 ここからどう巻き返して行ったらいいか分からない。

 完全に途方に暮れてしまって、自分の情けなさが目に見えるようだった。



「ねぇ静流、彼女と上手くいかないときってどーすればいいと思う?」

「何? 喧嘩でもした……?」

「ううん、俺が一方的にやっちゃっただけ。杏を悲しませちゃったの。」

「望遙って女子の気持ちよく分かるはずなのに、恋したらギクシャクするの変なの。」