甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 よし、とりあえず良かった……。

 そう安心して、乾に背を向けた時だった。

「でも、もうちょっとこうさせろ。」

「へっ……? ――っ。」

 まただ。乾は本当に好きだよね、バックハグ。

 ぎゅっと強く抱きしめられているせいで、暑苦しくなる。

 夏だからかどうかなんて、冷静には考えられない。

 ……やっぱり、いつまで経ってもこういうのは慣れない。

「杏、ワルい男ってさー……どんな事すればいいんだろーね。言葉遣いは変えてるけど、やっぱり慣れないや。」

 耳元で困ったような声色で伝えてくる乾は、きっと苦笑いしている。

 それに私は、驚いた。

 慣れない、んだ……あんなに不良っぽさ全開なのに。

 乾はいつもヘラヘラしていたから、言葉遣いが少し荒いだけでイメージが変わる。

 そんな乾に私はドキドキしながらも、むず痒い気持ちになっていた。

 乾は、無理に演じてるのかな……なんて。

 そうだったら申し訳ないし、やめたいならやめてくれたって構わない。

 ……でも決して、乾はやめない。