甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 いきなり腕を強引に引っ張られて、ぽふっと乾に抱きしめられる。

 椅子に座っていたらしく、抱きしめられると少ししんどい体制。

 でも、抵抗しようとするとなかなかできなくて。

「授業に遅刻してまでワルい男演じなくていいって。私、そういうの好きじゃない。」

「……こーゆーのは徹底的にしなきゃダメだろ。」

「私が望んでるのは、授業に来ないワルい男じゃない。」

 そもそも、ワルい男自体望んでない。

 流石にそこまでは言えなかったけど、とりあえず自分の意思を伝える。

 その時にふっと、乾の腕の力が緩んだ気がした。

「授業出たら、ワルい男じゃないって言わないだろーな。」

「そんな事で言わないって。しかも私、授業にはちゃんと出てほしい派だし。」

 学生の本分は勉強。それを疎かにするわけにはいかない。

 そうさせた原因が私だと思ったら、何を言っても授業に参加させなきゃダメだろう。

「ふーん、そっか。」

「出てくれるの、授業。」

「杏が望むんなら。」

 面倒そうに欠伸を零すも、瞬きを繰り返して目を開けた乾。