甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 その一か月、何があったのか。

 それに対する答えは、簡潔にまとめると……乾がとことん、甘かった。

 まずプレイボーイをやめたという事実を知ってほしかった為か、あろう事か乾はクラスメイトみんなの前で宣言した。

『杏はもう俺の彼女だから、そこ分かっといてね。』

 まさか、そんな大胆な事をすると思っていなかった。

 それ以来、乾は私に対してとことん関わってきて誠実な態度を示してきた。

 学級委員長としての仕事に抜かりなく、誰かが困っていたらすぐに手伝いに行く。

 成績も前まではダメダメだったらしいけど、今はトップ3を維持している。

 今や私よりも頭が良くなっていて、若干悔しい。

 だから、それだけでも十分分かったんだ。乾は本気で、私のことを好いていてくれてる……って。

 でも乾は、徹底的に私を落とそうとしていた。

 態度だけじゃなく、言葉で何度も好意を示してきたんだ。

 「好き」や「愛してる」。そんな言葉を、飽きずに一日一回は言ってくる。

 元プレイボーイだから、そう言うのは得意なんだなって最初こそは相手にしてなかった。