甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

「はい?」

 教室に少し息を切らしている担任が入ってきて、首を傾げた。

 はて、一体何の用だろう。

 大方予想は付くものの、聞くに越した事はない。

「どうしたんですか?」

「いやー……悪いとは思ってるんだがな、少し頼まれてほしくてな。放課後、資料綴じをしてくれないか? 生憎臨時の職員会が入ってな……乾にも声かけるから、いいか?」

「あ、全然良いですよ。それくらいなら。」

 何だ、ただの資料綴じか。

 もっと労働的なのを頼まれると思っていたから、拍子抜けしてしまいそうになった。

 乾と一緒、なのが若干気まずいけど……仕方がない。

 担任も困ってる様子だし、放っておくわけにもいかない。

 珍しく今日は、乾は教室に居ない。

 それもワルい男の演出の内なのか、はたまた普通に用事があるのか。

 ……何にせよ、気にしても分かんないや。

 どうせ授業が始まるまでには帰ってくるだろうし、放っておこう。

 この時の私は、そう思っていた。



「有栖沢さん、乾君来ないね。どうしたんだろ。」