甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

「分かってるよそれは! でも~、事故だからね? 聞こうと思って聞いたわけじゃないもん、たまたま聞こえてきたの。」

「それでも盗み聞きしたって事実は変わんないでしょうが!」

「本当にごめんねっ!」

 表面上、空音はそういうけど。

 ……絶対思ってないだろうな、ごめんって。

 すぐに分かってしまうも、過ぎてしまった事をあーだこーだ言ってても仕方がない。

 聞かれてしまっていたのは恥ずかしい事この上ないけど、今怒ったって過去が変わるわけでもないし……。

「はぁ……まぁ、空音も悪気はなかったんでしょ? 今回は許す。」

「え、本当!? 杏ちゃん優しい~。」

「その代わりドーナツ奢って。」

「それくらいなら! 私も、本当にたまたま聞いちゃっただけで……ね?」

「分かってるから。忘れないでよね、ドーナツ。」

「もちろん!」

 ……よし、言質取った。

 空音は優しいというけど、ドーナツをせびる性格なんだから優しくはないだろう。

 なんて、ぼんやり考えていた時だった。

「あっ、有栖沢! ちょっといいか?」