甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

「乾……あの、大丈夫……?」

「……。」

「おーい、乾ー……?」

「……。」

 ダメだ、反応がない。

 無視を決め込んでいるのか、はたまた何かを考え込んでいるのか。

 どっちかは分からないけど、反応がないって事は相当乾の心に刺さったんだろう。

 なんて、一人憶測を立てていた時だった。

「おい、杏。」

「へっ……?」

「何間抜けな顔してんだよ、可愛くねーぞ。」

「え、う……だ、だって乾……。」

 口調が、変だよ……?

 いつもの軽い口調じゃない。重たくて、ぶっきらぼうな口調。

 どうしたの、乾?

 と言おうと口を開くも、乾本人に阻止される。

「杏はこんな男が好きなんだろ? だったら俺は今日から、杏が望む“ワルい男”になってやるから。」

 ふっと、妖艶に口角を上げる乾。

 その仕草は毎日のようにしているはずなのに、なんだか色っぽく見えた。

 ……っ、これはヤバいかもしれない。

 悟ったけれど、もう遅い。

 ――ちゅっ、とリップ音が額に響いた瞬間に。