甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 けれどすぐに体制を直し、私は抱き着いてきた奴を剥がした。

「急に抱き着いてこないでってば、乾!」

「照れてんの?」

「照れてない! びっくりしただけ!」

 朝からあんまり声出したくないのに……なんて感じるも、彼にはどうしても大きな声を上げてしまう。

 彼は、元学年屈指のプレイボーイだった乾望遙(いぬいみはる)

 ……そして、私の彼氏。

 乾と付き合う事になった理由の発端は、四月に乾から告られた出来事。

 その時は絶対に好きにならないし、なりたくもなかった。

 私はチャラい人やプレイボーイと呼ばれる人が嫌いだったから、絶対無理だと思っていた。

 それでも乾が引かなかったから、私はある条件を設けた。

『……私のことが好きなら、一か月で私を落としてみて。』

 一か月じゃ流石に、乾でも無理だろう。

 それに私は、乾みたいなプレイボーイには落ちない自信があった。

 だからそんな、自信満々に条件を付けた。

 ……んだけど、無理だったのは私のほうだった。

 だって、自分でも驚くくらい呆気なく、乾のことを好きになってしまったんだから。