甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 何でこのタイミングで、キスなんか……っ。

 なんて思って抗議しようとしても、次第に力が抜けていってしまう。

 後頭部を支えられている為、どうにも逃げられない。

「いぬ、いっ……やっ、離してよっ……!」

「だからダメだって。杏、最近寝てないでしょ。隈、できてたよ。」

 キスをやめて、今度はぎゅうっと力強く抱きしめてくる乾。

 その彼の言葉に、思わず言葉に詰まる。

 だって……その通り、だったから。

 気付いてたんだ……乾は。

 最近学級委員としての仕事も増えてきて、本格的に多忙な時期になってきた。

 体育祭も近い内にあるし、呑気にしていられない。

 その事についての心配事なども重なってしまい、結果的に最近は寝不足続きだった。

 まさか乾にバレるなんて思ってなかったけど、どうしてもそんな事実に胸が高鳴る。

 ……私のこと、ちゃんと見てくれてるんだって。

 プレイボーイの言葉なんか信じない。信じたくないって、ずっと思っていたけど。

 ここまで誠実に態度に表してくれる人なら、身を委ねても良いのかなって……考えてしまう。