甘くて優しい青春恋物語 ~一途なプレイボーイはワルい男へ方向転換?~

 バックハグ状態を解除したかと思うと、流れるように腕を掴まれる。

 そのまま壁際まで見事に追いやられてしまい、身動きが取れなくなってしまった。

「乾、何してんのっ! ホームルーム始まるって……!」

「いいよ、バックレよ。」

「良いわけないでしょ! 私たち、仮にも学級委員長なんだから。学級委員がサボるとか、成績に響きそうで嫌なんだけど。」

「ほんと杏ってそーゆーとこはしっかりしてるよね。」

 だったら離してほしいんだけど……。

 私のことを分かっているんだったら、私の気持ちも分かっているはず。

 それなのに目の前の乾は、離してくれようとしない。

 むしろ、私の腕を掴んでいる手に力がこもっている。

 それ故、私が一人で頑張ってもここから逃れられる自信はない。

 ……そう、どうしようかと悩んでいた瞬間の事。

「でも、あんまり思いつめすぎてたらダメだよ? はい、こっち向いて。」

「んんっ……!」

「杏は責任感が強すぎんの。たまには息抜きしても、怒られないよ。」

 押し付けられるような、けれど柔らかなキスが私の唇に落ちてくる。