パクパクとおいしさを味わってると、自然と頬がゆるんでくる。ご飯食べる時間がいちばん幸せかもしれない……。
「紗羅、ついてる」
「えっ!どこ?」
「違うそこじゃない」
手で顔の周りを触るけど、全然分かんなくて。
「ここ」
理乃が私の頬に触れてケチャップを拭い取った。触れられたところからじわりと熱が広がっていく。
「あ、ありがと。ごめんね。汚くて」
「んーん。紗羅が食べる時の顔、幸せそうで好き」
「好き」っていう単語にいちいち反応してしまう。ダメなのに。忘れないといけないのに。
「じゃあ理乃、鍵とか閉めといてね」
「うん」
朝ごはん食べ終えて、歯磨きもして、そろそろ学校に行く時間。



