超人気アイドルの溺愛は、私にだけ。



ここで、言う訳にはいかないよね。誤魔化すためにそういうことにしようと思ってヘラっと笑っていう。

「あー、そうだね!なんかこうアイドルっていいなー、みたいな」

「……へー」


自分から聞いてきたくせに興味無さそうにそういう理乃。ちょっと気になるのかなって期待したのに……。


「じゃあさ、」

「うん」

「もし俺がアイドルになったら付……」

「ごめん、風邪で聞こえないっ……!」

いきなり吹いた強風が理乃の声を邪魔する。冬の冷たい北風だったから、音もでかくて。


収まってからなんだった?って理乃に聞いたけど、なんにもないって逸らされた。

そのときの理乃の目にはいつもの無気力と違ってなにかの決意が宿ってた。