超人気アイドルの溺愛は、私にだけ。



さっきと聞き覚えのある音がして、誰かが入ってきた。


「紗羅!」

この黒い髪と、低い声。間違えるはずがない。


「あ……、理乃?」


「っ、なにやってんだよ」

「ごめん、なさっ、クラスの子にバイトがあるからっ、掃除をやってって頼まれ、て」


「っ、あいつら」


涙が止まらない私をひょいって私をお姫様抱っこして保健室へ連れてってくれた理乃。


「名前言って」

「?誰の?」

「紗羅を騙したやつの。顔は分かるけど」

「いいよ、いいよ。大丈夫。次からは理乃に迷惑かけないから」

「違う。俺は……」

何かをいいかけた理乃。

「心配、させんな……」

そう言って、肩に顔を埋めてきて。心臓がバクンと鳴った。