「開けて!お願い!」
ドアを叩きながら大きな声で言うけど、クスクスという笑い声しか聞こえない。
「ほんとバカだよねー、変な嘘に騙されちゃって」
「理乃くんに近づいたこと、ちょっとそこで反省しとけばー?」
ああ、ほんとに私はバカだなぁ。バイトがあるって言うのも全部嘘だったんだ。
「ちょっと、待っ……」
去ってく足音。冬の寒さ。
外には人の気配は全くなくて、これ以上大声を出しても無駄だと悟った。
ずるずると床にしゃがみこむ。寒い。とにかく寒い。
これ、家帰れるのかな?今何分経ったんだろう?
気づいたら涙が出てきてどう拭っても止まらなくて、
そのとき━━━━
ガチャン。



