最後の日はどうしてもこれを食べて欲しかったんだ。

美味しそうに食べるお母さんを見て私も嬉しくて、頬が緩むのを抑えられない。

「紗羅、」

「なに?」

「ごめんね、母親らしいこと、なにもしてあげられなくて」


お母さんが泣きそうになりながら言うから慌てて否定する。

「そんなわけないよ!お母さん、いっつも私の誕生日は絶対お祝いしてくれたよね、私のために仕事もたくさん頑張ってくれて、ありがとう!」

お母さんは溜まってた涙が一気に溢れてしまって。私もつられて涙が出てきてしまった。