「ちょっと理乃!聞いてないよ!」


「……俺は聞いてる」


「私は聞いてないの!」


目の前にそびえ立つのは大きい建物。パネルには堂々と「hotel」の文字。


誰がどう見ても、高級ホテルだって分かる。


どうしてこうなったのかというと……



.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚.*・゚


「理乃、方向逆じゃない?駅は向こうだよ?」


事務所を出て、なぜか駅とは真逆の方向に進んだ理乃。私でもさすがに駅の方角は分かるから、理乃が道に迷ってるのかと思った。ら


「合ってる。俺たちが今から行くのは駅じゃないから」


「……え?」


そう言って理乃が見せてきたのは「ホテル 2名様 1部屋 予約済」という文字。


「なんか、予約しておいてくれたらしい」