超人気アイドルの溺愛は、私にだけ。



自分自身でこんな声が出せるんだってビックリしたけど、ためらってる暇はない。


「だれかっ、ぐっ」


スカウトマンが私の焦った様子で口を塞いできた。離れようと暴れるけど、ビクともしない。


でも、前の弱い私じゃないんだから、理乃の隣に自信を持って立ちたいから。効かないって分かってても精一杯抵抗する。


「っ、紗羅ちゃんねぇ、」


「何やってんのかなー」


そこに出てきたのはスタイリッシュなボブをした女の人。つり目気味で怒ってるみたいな人にスカウトマンが一瞬たじろぐ。


「なにって、あはは。ちょっと揉め事ですよ」


なっ?って私に圧をかけて同意を求めてくる。


っ、すごい手に力を込めてくるけど、この人が助けてくれるかもしれないチャンスをら逃す訳にはいかない。