超人気アイドルの溺愛は、私にだけ。



「でも、違う。俺は、ずっと心菜のことが好きだった。でも、俺みたいなやつがお前と付き合うと迷惑かけるかなって思って他の女で忘れようとしてたけど」


「……」


「でもさっき、如月さんを見て、なんか俺ももうちょっと素直になろうかなって気づいた」


「っ、遅いよっ、バカ!」


神谷先輩が高川先輩においでって腕を広げて抱きつきに行こうとする、恋愛映画ド定番のシチュエーション。


でも、そうじゃない。私が気になってるのは、そうじゃない。


走り出そうとする先輩のブレザーの裾を引っ張って止めた。


「あのー、先輩……。水を差すようでほんとに悪いんですけど、理乃はどうするんですか。付き合ってるんですよね?」