「いやー、やっぱすごいね、理乃くん」
「……」
私の机に来るなりそうぶっこんでくる椎名ちゃん。分かってるからこそ、反論できない……。
「てゆーかさ、理乃くんって去年体育大会でMVPもらってたよね、月精高校歴代最高記録更新、とかで」
「え、そーなの?」
「うん、持久走。最初は気だるげに走ってたらしいけど、なんか途中で思い出したように覚醒して速くなってた。あんときファン50人は増えたな」
全然知らなかった……。でも理乃は確かに昔からなんでもそつなくこなせるタイプだったから。
「なんか、なんでもできるよね、」
「ほんと!神様は不公平すぎ!」
諦めたような表情の椎名ちゃん。でも私もあれは反則だと思う。



