「はは、ジョーダン」
理乃がそう言ったのは分かったけど、自分の感情すら分からなくなってきて顔が赤くなるのが分かる。
それを見られたくなくて自分の手を見つめるように俯いた。
自分の手しか見えなかったけど、変な沈黙が流れたのは分かった。
「え……。それは俺フツーに期待する」
「……」
「な、紗羅。顔上げて」
「期待し……」
プルルルルル プルルルルル
「期待していいよ」そう言おうと思った瞬間に着信音が鳴り響いた。
私の音はこの音じゃない。じゃあこれは、
「悪い。おれの」
携帯を耳に当てた理乃。電話口の人と話し始めてる。
「えー。明日って言ったじゃん」
「は、急すぎだって」
「あー、分かった」
