超人気アイドルの溺愛は、私にだけ。



そんなのって……。


「んーとね。会えないっていうか、コンサートがあってその準備に追われるから早朝に家出てって深夜に帰ってくんの。紗羅にそんな生活させるわけにいかないから」


……ああ、なるほど。よかった。引っ越すって訳じゃないんだ。


なぜかほっとした気持ちになって、理乃の黒い瞳を見つめる。


「そっか。……頑張ってきてね」


うまく「頑張って」って言えなかったのはどうしてだろう。最近私、おかしい。


「ん。寂しい?」


「っ、!そんなわけ、ない……でしょ」


語尾がちょっと弱々しくなったのは理乃が言ったのが図星な気がしたから。



「寂しい」言われてみればそういう感情なのかもしれない、けど、けど……。