「っ、ごめん。乱暴なことして」
急に弱々しくなった声が耳元で響いた。
「俺、すげえ不安で。紗羅が岡村と付き合うんじゃないかって。不安になって余裕なくした。ごめん」
胸の奥がきゅっと締まって、なぜかこっちが申し訳なくなってくる。
さっきとは表情も声も態度も違くて、抱きしめたまま、優しい手つきで私の頭に手を添えてきた。
「……うん。いいよ。でも、仕事してたんだよね?大丈夫だったの?」
「遊園地のリポートだったけど、メンバーが送り出してくれた。生放送じゃなかったし」
「っ、ほんと……。よかった。本当に、ありがとう。理乃が助けに来てくれなかったら……」
考えただけでゾッとする。岡村くんがあんな風になるなんて、全然思わなかった。またさっきの恐怖が戻ってきて体をギュッと縮こませた。



