何をそんなに、焦ってるんだろう。
駅から家は遠くないので、それでもあまりゆるまなかった理乃の早足に着いていくとすぐ着いた。
靴を脱いだ瞬間、理乃の部屋へ連れ込まれる。
手首を掴まれてベッドに押し付けられて、鈍い痛みが走った。理乃、どうしちゃったんだろう……。
真っ黒な目からはなんの感情も読み取れなくて、怖い……。
「紗羅。あの男と2人で何してた?」
「えっと、実は友達が気になる人がいるって言ってて、友達と、その人と私と岡村くんでダブルデート、してて」
「うん」
「っえっと、それでね?友達がいい感じになったから、私と岡村くんは抜けようって、なりま、した」
途切れ途切れだったけど、何とかいい切った。でもその瞬間、理乃は脱力したように覆いかぶさってきて。



