……ヤバい。この顔はキレてる……。
「……氷室、黙ってろ。如月さんは俺の彼女なんだよ!」
「……は?」
さらに怖い顔になった理乃。かと思えば私に視線を、向けてきて、
「紗羅、そうなの?」
今度は優しく問いかけてくる。温度差に泣きそうになりながら震える声で言った。
「ち、違う。離して!岡村くん!」
最後の抵抗で思いっきり手を振り払う。それでも力の緩まらない手。どうしようとまた泣きそうになったとき、
ミシッっと岡村くんの手が理乃の手によって掴まれた。……ミシッて人の腕を掴んでもならない音のような気がする、けど。
「紗羅が、嫌がってるだろ。離せ」
理乃が鋭い目と最上級に低い声で言った瞬間、岡村くんはやっと手を離してくれた。



