超人気アイドルの溺愛は、私にだけ。



「わ、ここ懐かしい」


「な、俺も見たとき紗羅と遊んだことしか思い出せなかった」


「せっかくだから乗ろう……!」


幼心を思い出して、少し軋むブランコに腰掛ける。理乃も隣のブランコに腰かけて、予想外に近かった距離にドキドキした。


隣を見ても一向に漕ぎ出す様子がない理乃。悩むように首の後ろに手を当てていて、その姿ですらSNSに上げたらバズりそうな雰囲気。


「紗羅」


静かだけど、重みのある口調でそう言われる。今まで名前を呼ばれた、どの時より心臓がドキドキした。


「なに?」


「なんで中学の時、急に迷惑なんて言い出したの?」


「……え?」


急に避けてた話題にされて、心臓がドっと跳ねる。


私の反応を見た理乃は俯いて「紗羅が言いたくないなら言わなくていい」と、呟いて、


「代わりに、俺の今から言うこと聞いて」


「……うん」


「俺は……、俺は紗羅のことが好きだった。ここで遊んでたときから」


……っえ?理乃が言ったことを脳内再生する。