居酒屋に着くと、前回と同じ個室に通された。
車内ではだいぶリラックスしていた茉白だが、また少し緊張の色を強める。

「俺は今日は飲めないけど、真嶋さんは好きに飲んでね。ちゃんと送ってくから。」

「あっ…そうですよね…すみません…!」

(ここも美味しいけど…雪村専務が飲めないならもっと料理がすごいお店にしてもらった方が良かったかな…)

(あ!しかも前回は米良さんが全部完璧にやってくれたんだった…)

「また何か余計なこと考えて緊張してるな。今日はお礼だから全部真嶋さんの希望でいいし、変な気も回さなくていいよ。」

(…私の表情ですぐ気づくんだ…本当に気遣いがすごい人…)


「ワニ…使ってくれてるんですね。」
乾杯をすると、茉白が聞いた。

「うん。いつも持ち歩いてる。今も車にあるよ。」

「え、それはちょっと…可愛すぎませんか…」
茉白が思わず溢すと遙斗は笑った。

「でも、休めてるって言っていただけて嬉しいです。発売したらいっぱい注文いただけそうですね。」
茉白はイタズラっぽくニコッと笑った。

「真嶋さんは?クマ作るような働き方してない?」

茉白は今度は目の下を押さえた。

「雪村専務のアドバイスで、頼れるところはみんなに頼るって決めたので…最近は8時出社で20時退社になりました。なのでクマは大丈夫…なはずです。」

「まだ長いけど、改善してるなら成長だな。」