「えっ」

『急で申し訳ないんだけど、明日の夜空いてたら食事でもどうかと思って。』

遙斗からの突然の電話というだけでも茉白の鼓動が速くなるというのに、食事の誘いだったので茉白は心臓が耳についているのではないかと思うくらい大きな心音を感じていた。

「え、えっと……?」

『ワニのお礼がずっとできてなかったから。』

「でもあれはモデル料って…」

『あれからよく休めてるから、そのお礼。』

「………」

『…都合が悪ければまたの機会に—』
「空いてます!!」

電話口で遙斗が笑った。


翌日

「茉白さん、なんか今日…なんか…」
莉子が茉白をジッと見る。

「えっな、何…」
茉白は莉子の視線にたじろいだような反応をする。

「なんかキレイっていうか…服装にちょっと気合い入ってません?ピアスもいつもより高そうなヤツ…メイクも…」

「今日はちょっと…仕事帰りに用事があるから。」
(莉子ちゃんも目ざといなぁ…)

「えー…それってもしかして、デート…?」

莉子が声のボリュームを落として言うと、茉白は焦って首を横に振った。

「た、ただの用事っ!」


そんな様子を見ていた縞太郎が、商談ルームに茉白を呼び出した。