「綿貫さん、この前のクリームソーダのポーチ、売り場でもすっごく人気だったみたいです!良い物を作っていただいてありがとうございました!」
茉白は明るい笑顔でお辞儀をした。

「いやー、途中で発注数も増やしていただいて、こちらこそありがとうございます。茉白さんと佐藤さんと、あれこれ悩んで考えた甲斐がありましたね。」
綿貫も笑顔で言った。

「おかげさまで、シャルドンさんていう大きな雑貨チェーンにたくさん発注いただけたんです!縫製がきれいでファスナーもしっかりしてるって言ってもらえて。サクランボ柄の生地もイメージ通りのものをみつけてもらえて良かったです。」

「シャルドンは私でも知ってますよ。実は店頭でたくさん並んでいるのを見かけて、嬉しくて買っちゃいましたよ。娘にプレゼントしました。」

「えー本当ですか!?綿貫さんにならうちからプレゼントしたのに!」
茉白と綿貫の会話は親しげに盛り上がった。


それから茉白は影沼を連れて、綿貫から工場の設備や仕事の説明を受けた。


「今新作のポーチの企画も動いているので、また見積りからお願いします。またシャルドンさんに入れてもらえるように頑張りますね!」

「佐藤さんにもよろしくお伝えください。茉白さんの絵をわかりやすい図に起こしていただいてありがとうございます、って。」
綿貫が笑って言った。

「え〜!綿貫さんまで…最近いろんな人に絵の事でいじられます…でも伝えておきますね!」

「ではまた、ご連絡お待ちしてます。」
「はい、また。」

茉白と影沼は工場を後にした。


「茉白さんは工場の方とも仲が良いんですね。」

「はい。とくに綿貫さんには縫製の方法とか、生地の種類とか、色々教えてもらったので。」
茉白は綿貫との思い出を振り返るように言った。

「それは素晴らしいですね。…ただ、商談でもないのに工場訪問に時間をかけ過ぎですね。」

「え…」

「いえ、Amselだったら、という感想です。」
影沼は付け足すように言った。