まぶしくて、目を閉じていてもまぶしくて、私はすっかりパニック状態に陥ってしまう。
『お兄──ちゃん、ねえ、……バイクが、』
脳内で小さな女の子の声が途切れ途切れに再生される。
いつの間にか目線はその子視点で、小学生らしき男の子を見上げていた。
手はしっかりと繋がれている。
男の子はどこか焦っているようで、右も左も見ずに横断歩道を渡ろうとしていた。
そんな光景に、悪い予感がして───
そして、その男の子と繋がれていた手がほどけて、次の瞬間には。
キキィーーー!!! ドンッ……!!!!
目の前から、男の子の姿が消えた。
それは本当に一瞬の出来事で、何が起こったのか理解できなかった。
『お兄、ちゃん……? っ、ねえ、お兄ちゃん!!!』
恐る恐る視線を向けた先には、車道に倒れたバイクと、そして。
真っ赤な血を流す、一人の男の子。
夕陽に照らされるアスファルトがみるみる内に鮮烈な血で覆われていく。
───そんな光景がフラッシュバックした。
「……っ、はあっ」
大きく目を開けて、肩で息をする。
それでも上手く酸素が吸えなくて、呼吸困難になる。
雷は未だに鳴り続けている。
あの日のトラウマが再び私を襲う。
今見た出来事は、私が幼い頃に経験したものだった。



