カチャカチャと食器がぶつかり合う音がやけに大きく部屋に響く。
先週までは、向かいの席に犬飼くんがいて、今頃ご飯を美味しそうに頬張っていたんだなあと、そんなことをふと思った。
また犬飼くんのことを思い出している自分に気づいて、私は思いきり頭を振る。
……っ、もう、いつまで考えてるのよ。
別に犬飼くんがいなくなったって何も変わらないじゃない。
頭ではそう思っているのに、心の奥がピリッと痛む感覚がして、私は胸に手を当てた。
黒いモヤが胸に広がって、これまで感じたことのない、言いようのない寂しさに襲われる。
私は自分を律して、食器洗いやら入浴やらを無心で済ませた。
その夜。
天気予報では晴れだったはずなのに、土砂降りの雨が降り出した。
時折ゴロゴロと小さく唸りを上げる雷が聞こえてきて、私は布団の中でうずくまった。
強風がカタカタと窓を揺らす。豪雨は収まることを知らず、その雨足は強くなるばかりだ。
ピカッ、ゴロゴロゴロ───!!
「……っひ」
私は目を強く瞑って、耳に手を当てた。
全身がぶるぶると震えている。
頭の中は真っ白で、パニック発作が起こる寸前だった。
雷が真っ暗な街を明るく照らし、私の目の前が急に真っ白になった。



