私は聞こえないくらい小さなため息を吐いて、壁に取り付けられている鍵穴に鍵を差し込み、重厚なドアを開けた。
犬飼くんと共にエレベーターに乗り、十一階で降りてしぶしぶ家に上げた。
この時の私は、犬飼くんを家に泊めるのは今日までだと当然のように思っていた。
犬飼くんの企みを見抜けなかった代償が、あまりにも大きくなるということを知らずに───。
「……それでまあ、見事に押し込まれちゃって家に上げたのね」
「うんうん」
そこまで話し終えた私は、一旦口を閉じた。
これから杏月に伝える話は、あまりにも私のお人好しの悪さが垣間見えてしまうものだからだ。
「それでそれでっ? 気になるんだけど!」
目を輝かせながら続きを促す杏月。
話さない他選択肢はなくて、私はまた続きを話し出した。



