私がそう聞くと、犬飼くんは言いにくそうに口を開いた。
「えっとですね……、俺のこと、また泊めてくんないかな」
それを聞いた瞬間、私はぽかんと口を開けていた。
「……は?」
「いや、だからさ。あともう一泊だけでいいんだ、お願い。頼む、一生のお願いだから!」
犬飼くんは土下座でもする勢いで私にそう頼み込んでくる。
「そんなの、無理に決まって……」
そう切り捨てようとしたけれど、私を上目遣いで見つめてくるその瞳があまりに庇護欲をかきたてるもので、私は口を閉ざした。
「ね、お願い。俺、結構困っててさ」
〝困ってる〟
そんなワードを使ってくるなんて、ズルい。
困っている人を放っておけない性格の私を見抜いたような目で、いたずらに見つめてくる。
「……うぅ、もうっ。本当に一日だけだからね」
「っ、ありがとう!」
キラキラと瞳を輝かせて、飼い主に認めてもらえたような子犬みたいに飛び上がった犬飼くん。



