気まずい空気が二人の間を流れる。
私はこっそりとその横顔を盗み見た。
足下を見ているわけでも、すぐ近くを見ているわけでもない。
私の瞳に映った犬飼くんは、ここよりずっと遠い場所を見ているように見えた。
人混みが苦手な私にとって、家に帰り着く頃にはげっそりと魂が削られていた。
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「お風呂、先入る?」
「ううん。雨宮さん、疲れてるだろうから先に入ってきて早く休みな」
家に帰り着き、そう聞くとそんな返事が帰ってきた。
……なんか、優しいな。
そう思うのは今に始まったことじゃないけれど、改めてそう思った。
「うん、……ありがとう」
犬飼くんも一日中遊んで疲れているだろうから、いつもより早めにお風呂から上がり、髪を乾かしてからリビングに向かった。
扉を開け中に入ると、いつもは聞こえるはずのテレビの音がしなくて不思議に思う。
ソファに近づくと、すぅすぅという寝息が聞こえてきた。



