「何だっけ、ディズ二ーランドのマスコット的動物。リスだったっけ?」
「何言ってるのネズミだよ」
そんなことも知らないのに行きたいなんて言ったのか。
心の中でため息をこぼす。
「ああ、ミッフィー!」
「違うミッキーぃ! ミッフィーはウサギじゃ馬鹿」
私たちと同様ディズニーランドに向かう人たちからの冷ややかな視線が凄い。
当の本人はその視線に気づいてもおらず、「ああ、ミッキーかぁ。ミッキーね」と納得するように頷いている。
……はあ。こんな馬鹿と同じように見られているこの状況が苦痛で仕方ない。
昨日の夜あれほど雨になれと願っていたのに、今日はあいにく真っ青な空が頭上に広がる晴天だ。
梅雨明けもまだなのに、どうして……。
私は隣の晴れ男を軽く睨んだ。
物凄い人の行列に並び始めて三十分ほどしてようやく園内に入ることができた。



